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ハケンアニメ!  ―――― あなたに、きっと覇権を取らせてみせる。

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ハケンアニメ!
著者:辻村 深月
イラスト:CLAMP
発売元:マガジンハウス
発売日:2014/8/22











【注目キャラクター】



「アニメは、それを観た各自のものだよ。

 そこじゃもう、作り手のことなんか関係ない。

 俺が作った『リデル』を、俺以上に愛してくれる人はいるし、
 俺の作品に一番詳しいのは俺じゃないくていい。

 それは、そこに一番愛情を注いだ人のものなんだ。」



「リア充どもが、
 現実に彼氏彼女とのデートでセックスに励んでる横で、
 俺は一生自分が童貞だったらどうしようって
 不安で夜も眠れない中、
 数々のアニメキャラでオナニーして青春過ごしてきたんだよ。

 だけど、ベルダンディーや草薙素子を知ってる
 俺の人生を不幸だなんて誰にも呼ばせない。」




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王子 千晴
”天才”アニメ監督。32才。
9年前に初監督アニメ作品『光のヨスガ』が大ヒットを記録し、業界に新風を巻き起こした。
容姿も名前通りのイケメンであり、”アニメ界の星の王子様”と呼ばれた。












【レビュー】





「アニメもフィギュアも、男も女も、

 この業界周りで働く人たちは、皆、総じて ”愛” に弱い。



 自分のやっていることに誇りを持っています、これが好きです、

 というのを見せられてしまうと、

 簡単にたらされ、ほどされてしまう。



 そうやって盛り上げて決めた話の後で、結果、

 愛だけじゃどうにもならないお金の問題が発生して揉めたり、

 地味な作業に地獄のように追われることになっても。



 この業界の人は、やっぱり、皆、総じて、愛の人だ。」








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監督が消えた! ?

伝説の天才アニメ監督・王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。

プロデューサーの有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。

同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と次々にヒットを飛ばすプロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。

ハケンをとるのは、はたしてどっち?

そこに絡むのはネットで話題のアニメーター・並澤和奈、聖地巡礼で観光の活性化を期待する公務員・宗森周平……。
ふたつの番組を巡り、誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び新たな事件を起こす!

熱血お仕事小説。
(作品紹介より)

















■本屋大賞ノミネート!【アニメの現場】を描く連載小説





本作品は雑誌『anan』に掲載されていた連載小説が単行本化したものです。


アニメーション制作業界で働く人々が、そのシーズンに放送された作品の頂点(=覇権)を目指す姿やそれぞれの人間関係を等身大で描いた群像劇であり、3話の短編と最後のエピローグで構成されています。


舞台となっているのがアニメ制作の現場ということで、昨年からドハマリしているテレビアニメ 『SHIROBAKO』 と平行してみると、更に【業界】について詳しくなれる自分的歓喜!な作品です。


もちろん創作物なので、『SHIROBAKO』も本作も現実を忠実に描くというよりは、もう少し面白可笑しくフィクションが織り交ぜていることは分かっています。


しかし、私も制作側の方々のインタビューや対談、出演されてラジオなどを聴いているので、上記の2作品の中に、確かに ”現場の声” が込められているのが伝わってきます。
実際、本作の巻末に様々なアニメ関連の人々への謝辞が載せられており、綿密な取材の跡が見受けられます。










昔ならこんなアニメの裏側を描くような作品は受け入れられなかったように思います。


時代が変わったということなのかもしれません。


エヴァの放送から20年が経ち、その衝撃を受けてアニメ業界に就職したファンは力を付け、第一線で制作に関わっていることでしょう。


コミケを中心とした【同人文化】も発展し、同人作家から数々のプロの漫画家が誕生しました。そして、プロを続けながら同人活動を平行して行うことも珍しくありません。


声優界においても、声の出演だけに留まらず、歌い、踊り、トークをし、イベントやライブに出演と生身でファンと触れ合う機会が圧倒的に増えました。


もしかしたら今が、ファン側と作り手側の距離が今までで最も近くなっている時代なのかもしれません。


作り手側の顔が見えてくると、「あの人が作った作品なんだ」 と実感し、自然と親近感と沸いてきます。ファンがアニメ作品自体よりも作り手側に興味を示し、共感し、更にアニメが好きになっていく。そんなプラスの循環が生まれていきます。



大きなムーブメントが動きだし、その流れに乗った本作はヒットするべきしてヒットした作品だと言えます。










本作が発売されたのは、去年の8月ということでしたが、当初私はその存在を知りませんでした。


知るキッカケとなったのは、本作が今年の 【本屋大賞】 にノミネートしたからです。


【本屋大賞】とは、『全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本』というキャッチプレーズのもと、書店員の投票により入賞を決定するという新しい形式の文学賞です。


過去には 『海賊とよばれた男』『舟を編む』 が大賞に選ばれるなど、その結果の信頼性が高く、私もこの賞を確認して読む本を選んでいます。


本作がノミネートされたということは、アニメに関係がない書店員の方々にも単純な物語としての面白さが評価されたということです。


できればこの本が起爆剤となり、更にアニメ業界に様々な人材が入り、より活性化していくことを期待します。















■女性の目から見た【業界】




著者が女性であること、そして連載していた雑誌女性向けであったことから、主人公が全員女性という設定になっています。


一章 『王子と猛獣使い』 では、アニメ制作会社のプロデューサー・有科香屋子


二章 『王女と風見鶏』 では、アニメ監督・斎藤瞳


三章 『軍隊アリと公務員』 では、作画スタジオの原画マン・並澤和奈


3者は職業もアニメとの関わり方も異なっています。多角的な視点で語られる物語により、【業界】を深く立体的に読者にみせることができます。


各章は独立した話になっていますが、前の章で次の章の主要人物がチラっと出てくる ”呼び水” 的な手法を取っていたり、最終章では、それまでの人物が入り乱れる ”お祭り” 状態(本当にみんなで祭りに参加する)になるなど、読者が読むことに夢中にさせる要素がたくさんあります。










アニメ業界で女性はマイノリティに属しています。


男性側から見た世界とは別の世界を見ており、新しい発見や、逆にすごく共感出来る点など、面白い体験をさせてくれました。


様々な障害を乗り越えながら”作品を創る”という一点を目指し奮闘する女性の姿は、まるで戦場で皆を導く女神のような神々しさと気高さを感じさせます。


もはや彼女達の生き様こそが一つの”作品”であると言えます。















■”覇権アニメ”とは





本作のタイトルにもなっている ”ハケンアニメ=覇権アニメ” についても語っておきたいと思います。


”そのクールで最も人気があった作品”ということですが、何をもって順位を決めるのか?


円盤の売り上げか?視聴率か?グッズの売り上げか?


どれも微妙にずれているように思います。


ちなみに作中では、「どの作品が印象に残ったか」「個人の趣味だ」 という曖昧な基準となっています。


言い得て妙だなと感じました。










結局のところ私にとって”覇権アニメ”とは、その圧倒的な存在の前に平伏してしまうような作品を指します。


まさにアニメという形をした ”覇王” です。


”覇権アニメ”となる作品は、第1話の頃はアンチのコメントが多かったとしても、徐々に視聴者は飼いならされていき、最後には賞賛の言葉しかありません。


私達は弱い自分達のことを支配し、一緒に高みへ連れて行ってくれる”覇王”を、毎クール探しています。










アニメは、それが人によって創り出されたものであっても、完成した瞬間に命が吹き込まれると私達は信じています。


毎クール新しい命が50本以上生まれ、その中から新たな“覇王”が勝ち残る。


そんな戦国時代の早回しのような光景を、私達は3ヶ月に一度目撃できます。


なんと幸せなことでしょうか。


これだけでも生きていく価値があるように思えます。















■追記





本作品をフューチャーしたサイトが開設されています。





『辻村深月「ハケンアニメ!」の感想・あらすじ』
http://ameblo.jp/bluerose-cat/





各短編のあらすじや人物紹介などのメニューの他、単行本には未収録の雑誌連載当時の挿絵も掲載されています。この記事にも転載させていただきました。


本作をまだ読んだことがない人は、まずこのサイトをご覧いただくとその魅力に入りやすいのではないかと思います。









































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[ 2015/03/02 22:30 ] ライトノベル | TB(1) | CM(2)
すばらしくおもしろかったです。
帯の煽り文句にもある「お仕事小説」に必要なすべてを備えている感じでした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
[ 2016/02/16 14:11 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
> 藍色さん

ありがとうございます!
こちらもトラックバックさせていただきました。
[ 2016/02/16 21:14 ] [ 編集 ]
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[2016/02/16 14:00] 粋な提案
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