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ここは今から倫理です。 1  ――― 人はどう生きるべきなのか?

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ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックス)
著者:雨瀬 シオリ
発売元:集英社
発売日:2017/11/22











【レビュー】





  「では また 【倫理】の時間に会いましょう」





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「倫理」とは人倫の道であり、道徳の規範となる原理。学ばずとも将来、困る事はない学問。しかし、この授業には人生の真実が詰まっている。

クールな倫理教師・高柳が生徒たちの抱える問題と独自のスタンスで向かい合う──。

新時代、教師物語!!
(作品紹介より)












■ちょっとダークな”金八先生”





【倫理】という教科は、最も”存在感が薄い”教科だと思う。


確か高校のときにそのような教科があり、受験科目としても設定されていたと思うが、そもそも自分が倫理を取ったのか取らなかったのかさえ、はっきりと覚えていない。本作を見かけるまで、倫理という科目があること自体を忘れていた。現国、数学、英語、世界史、日本史、物理、生物・・・・・・、様々な科目が学校教育には存在するが、やはり倫理は、最も取り上げられることが少ない科目ではないかと思う。


本作は、そのような倫理という科目をテーマに据えたというアイディアが、まず素晴らしい。この1つの着眼点だけで、私は今巻を買おうと思った。





物語は、ある高校の倫理の選択クラスが舞台となっている。


担当するのは、謎の男性教師・高柳



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そのただならぬ雰囲気にクラス全体が飲まれ、1年間の倫理の授業が始まる。


ただこのクラス、倫理がまったく人気がない選択教科だという設定からか、何かしらの”問題児”ばかりが在籍している。



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彼らの問題に高柳が向き合い、どのように解決していくかが、本作のプロットとなっている。


高柳の解決方法も、ちょっと変わっていたり、高柳自身がそれほど社会性があるタイプの人間ではないということもあり、不器用さが目立つ。ただ、高柳の正直な言葉であったり、その真摯な態度に生徒たちから一定の信頼を得て、読者としてもなぜか清々しい読了感を感じた。


作りとしては金八先生に近いと思うが、これを金八先生と言ってよいのかどうか、判断が難しい作品だ。



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■”倫理”とは?





さて、【倫理】とはどのような内容の学問なのか、ご存じだろうか。


簡単にいうと、倫理とは、【哲学】の一分野のことだ。


倫理は哲学の中で道徳の問題を扱うため、別に【道徳哲学】ともいう。したがって、歴史に名を残す倫理学者はたいてい哲学者である。ただし、現代では倫理学研究に特化する哲学者も少なくない。


倫理は、個人の社会両方のあるべき姿を問う学問である。個人の規範や望ましい社会のあり方を問うことは当然、今の時点から来るべき未来のあり方を問うことであり、問う者一人ひとりが、自分自身の生活のあり方を立脚点とする必要がある。何か抽象的な、どこにもいない『人間』なるものの『倫理』を問うのが倫理ではない。具体的な生活の中で、生きているあなたや私の『べき』を問うのが倫理なのである。


以上は、 田上 孝一著『本当にわかる倫理学』(2010年・日本実業出版社)での説明だ。





なお、作中での高柳による倫理も説明も印象的で興味深かった。



「――― 倫理とは ――――


 学ばなくても将来困ることはほぼ無い学問です。

 地理や歴史の様に生活する上で触れる事は多くないし
 数学のような汎用性も 英語のような実用性もありません。

 この授業で得た知識が役に立つ仕事はほぼ無い。

 この知識が役立つ場面があるとすれば――――


 死が近づいた時とか―――――


 倫理は主に 自分がひとりぼっちの時に使う
 信じられるものがなくなった時 
 死が目前に迫った時 人は宗教に救いを求める。


 ”宗教とは何か”


 人間関係がうまくいかない。
 他人を羨んで妬んでうまく生きる事が出来ない。
 
 
 ”よりよい生き方を考える”


 悩みが絶えず苦しい… 憂鬱…
 私は何の為に生きている?

 昔の哲学者たちは生涯をかけ悩み続けた


 ”幸せとは何か”


 『男がこうあるべき』とか『女はこうしなきゃダメ』とか…
 そんな事誰が決めた?


 ”ジェンダーについて”


 『死にたい…』


 ”いのちとは何か”


 どうですが 別に知らなくてもいいけれど

 知っておいた方がいい気がしませんか。」




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元々作者が本作を執筆しようと思ったきっかけが、叔母の死であったとあとがきで語られている。


叔母は長年鬱病を患っており、最期は自ら命を絶ってしまった。


死後、叔母の遺品として、付箋だらけの倫理の教科書と哲学書と『神様との対話日記』なる日記が見つかった。


それは間違いなく”生きるため”の勉強の跡だったと思うと、作者は書いている。


作者の実体験に基づいたテーマだからこそ、作品にも”重さ”が現れており、本作に読者が引き込まれてしまう”引力”の正体なのだ。










■”よく生きる”とは?





今巻の収録話の中で、これは面白いと思ったのは、#4『よく生きる』で出てきた【アレテー】という概念だ。



【 徳 】

一般的にいえば,人間が単なる動物的存在から脱して,動物的でもあるが同時に理性的でもあるという真の人間らしさ,人間としての優秀性を体得している状態が徳である。

ギリシア語のアレテaretēも元来は優秀性一般を意味したが,後には人間に特有の精神的・道徳的優秀性を特に意味するようになった。

徳は,人間存在の二重性に即して,動物的情動の純化としての人格的な徳と理性的な徳とに二分されうる。
(コトバンク『世界大百科事典内のアレテの言及』より)





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人間にとっての【アレテー】は、具体的に何かということは作中で言葉では名言されなかった。(具体的な”物”としては登場したが。)


たぶん一人ひとり自分なりの【アリテー】があり、それを探し続けるのが、倫理の本質ではないのではないかと考えた。


本作はまだ連載中の作品であり、2巻以降も発売される予定なので、今後も本作を読み進めていくことで、自分なりの【アリテー】を見つけるヒントを探っていきたいと思う。





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