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幼女戦記 7 Ut sementem feceris, ita metes  ――――― 泥沼化する戦争に幼女<バケモノ>は何を思う。

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幼女戦記 7 Ut sementem feceris, ita metes
著者:カルロ・ゼン
イラスト: 篠月しのぶ
発売元:講談社
発売日:2016/12/28











【注目キャラクター】



「我々は、東部で勝った。

 勝ったというのに、なんだ、これは。

 我々は、一体、何の種を蒔いてしまったのだ?」



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レルゲン
帝国軍少佐(登場時)、参謀本部人事局人事課長。
かつて士官学校を訪問した際、一号指導生であったターニャが演習中に命令に従わなかった下級生に対し抗命罪の現行犯として処刑せんとした瞬間を目撃、その存在を不安視するようになる。しかし生真面目な性格ゆえにその能力を認めざるを得ず、軍の人事に携わる中でターニャ・デグレチャフという異質な「狂人」の扱いに苦悩する。後に作戦局付き高級参謀に転任し、泥沼化する戦争の指揮に関わっていくことになる。












【レビュー】










・・・・・・どうかしている。


帝国軍も、連邦軍も、どうかしているのか?

こんなことを、延々と繰り返すつもりなのか?

国家理性を前に、人倫が沈黙するとでも?

いったい、どれほど死体を積み上げれば終わらせるつもりなのだ?」






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東部戦線の不毛な泥濘の上とて砲火は途絶えぬ。

第二〇三魔導大隊を中核とするサラマンダー戦闘団もまた、その狂騒に投げ込まれた歯車の一つ。

よかれ、悪しかれ、蒔いた種は刈り取らねばならない。
戦争当事者ならば、誰が祈らずにはおれようか。
せめて、豊かな勝利の恵みがあれかし、と。

故に誰もが努力し、工夫も惜しまない。
だから、誰もが、蒔いた種の刈り入れを願う。
どこに蒔いたのかも自覚せず、ただ『勝利』を、と。
(作品紹介より)

















■【レルゲン戦闘団】結成~東部戦線勝利宣言





ターニャ率いる【サラマンダー戦闘団】は、連邦との激戦が続く東部戦線で奮戦していました。


長引く戦争の影響で戦場の兵達の練度不足は否めなく、逆に【サラマンダー戦闘団】”戦術的価値”はうなぎ登りとなっています。


そこに話が持ち上がってきた【レルゲン戦闘団】への参入命令。


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参謀本部のレルゲン大佐を団長とする実態のない”幽霊部隊”結成の秘密は、終戦に向けた実績作り。


連邦との終戦締結を仲介するインドラ王国の観戦武官の接待のため、多数の幽霊指揮官、幽霊幕僚、幽霊参謀が表向き東部戦線に出向くという形式を取りたいためです。










実際はその任務全てを【サラマンダー戦闘団】が遂行し、それと平行して、連邦への大規模な反抗作戦”鉄槌作戦”へ従事。


ターニャの活躍もあり、帝国軍はこの戦いに大勝利。


誰もが、ターニャさえもが、「これで戦争が終わる」 と喜びと安堵を噛みしめました。


ちなみにその時の情景を描いたと思われるのが、今巻の表紙・背表紙のイラストです。















■”蒔いた種”を刈り取るのは誰だ?





しかし、このような期待は往々にして裏切られるもの。


戦争終結のために【最高統帥会議】を招集したゼートゥーア中将・ルーデルドルフ中将(参謀本部)ですが、その結末は筋書きとはまったく異なる方向に進んでいきます。


会議メンバーである文官連が難色を示したのは、連邦との”講和条件”です。


参謀本部が策定した講和条件は、帝国の国力をほとんどをつぎ込んだ戦争の結末として、彼らにとってあまりにも”お粗末”なものに見えてしまったのです。


これでは、国民が納得もせず、国家財政は破綻してしまう。


もっと有利な条件で戦争を終わらせなければ、
帝国に未来はない。



文民連の意見も一理あることです。


結局、ゼートゥーア達はその要望を聞き入れるしかなく、またしても終わらせる戦争を終わらせる機を逸してしまいました。


この辺は読んでいて、イライラしっぱなしでした。


「なぜ理解できない!?この無能どもが!!貴様達のような人間が国を滅ぼすのだ!!!!」










この決定は帝国にとって、おそらく最期の”ターニング・ポイント”となったことでしょう。


もはや帝国に世界を相手に戦い続ける力はなく、後は”敗北へのレール”に間違いなく乗ってしまったのです。


ターニャが次巻でこの事実を知ったときの絶望・諦め・決意、その描写を思い描くとゾクゾクしますね。









「帝国は、”種”を蒔いた。

 いやはや、刈り入れ時が楽しみだ。


 ―――――― 蒔いた種は刈り取らねば。












































【関連記事】

・幼女戦記 6 Nil admirari  冬季戦 ―――― 雪、泥、幼女<バケモノ>。 [2016/10/02]
・幼女戦記 5 Abyssus abyssum invocat――地獄の果てに待つのは幼女【バケモノ】。 [2016/02/21]
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・幼女戦記 3 The Finest Hour 戦場の霧を見通すのは、幼女【バケモノ】ただ一人。 [2014/12/15]
・幼女戦記 2 Plus Ultra  ――最前線にて幼女<バケモノ>は嗤う。 [2014/06/03]
・幼女戦記 1 Deus lo vult ――戦争の最前線にいるのは幼い少女。 [2013/11/28]





















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[ 2016/12/30 00:51 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

ViVid Strike!   ―――――― 撃ち抜く一撃(ストライク)!

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ViVid Strike! 

原作・脚本 - 都築真紀
監督 - 西村純二
キャラクター原案 - 藤真拓哉
キャラクターデザイン - いとうまりこ
サブキャラクターデザイン - 新垣一成
デバイスデザイン - 大塚あきら
プロップデザイン - 岡戸智凱
アクション監修 - 飯野まこと
メインアニメーター - 中西和也
美術設定 - 泉寛、益田賢治
美術監督 - Scott MacDonald
色彩設計 - 菅原美佳
撮影監督 - 北岡正
編集 - 関一彦
CGディレクター - 伊藤仁美
音響監督 - 横田知加子
音楽 - 吉川洋一郎
エグゼクティブプロデューサー - 上村修
プロデューサー - 新井智大、黒木宏昌、井口健一、福田順
アニメーションプロデューサー - 畑中悠介
制作 - セブン・アークス・ピクチャーズ
製作 - ViVid Strike PROJECT(キングレコード、セブン・アークス、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ、クロックワークス)
公式サイト - http://vivid-strike.com/











【注目キャラクター】



「私は弱いから・・・ 強くならなきゃ何も守れない。

 誰にも見下されないように 何も奪われないように・・・・

 ―――― 私は強くなるんだ。



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リンネ・ベルリネッタ
私立ブルゲローニ学院中等部1年。DSAA・U15ワールドランク1位。

幼少期はとてもおとなしく引っ込み思案で、いつもフーカに守られていたが、4年前に富豪ベルリネッタ家に養女として迎えられる。そこで敬愛する養祖父ロイをはじめとする家族と暖かい日々を過ごしていたが、まもなく学校でいじめっ子3人による陰湿ないじめを受けたせいでロイの急死の際に立ち会えなかったことへの怒りから、いじめっ子3人を暴力で制裁した。さらにこの制裁が報道され、家族に迷惑をかけたことを自責することになる。

この事件を契機に格闘技の潜在能力を開花させた後、ジルのフロンティアジムに入ってDSAAの強豪選手となるが、前述の不幸な経験から自分の強さに固執して力を欲するようになり、平然と弱者を見下すようにもなる。やがて、1年前の大会で優勝した際には不謹慎な発言をいさめようとしたフーカと口論になり、決別する。












【レビュー】







  「ご先祖様から受け継いで 

      ママに育ててもらったこの体は 

              いつだって私の無茶を聞いてくれる・・・・


  ―――――― 思った通りに動いてくれる!






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孤児院で暮らす少女、フーカとリンネは、貧しい暮らしの中でも明るい未来を夢見て暮らしていた。
しかし数年後、リンネと離別して孤児院を出たフーカは苦しい生活の中で荒んだ暮らしを送っていた。
そんなある日、不良との喧嘩で負傷したフーカを救った少女がいた。
少女の名はアインハルト・ストラトス。挌闘競技選手である彼女との出会いが、フーカの運命を変えてゆく。
(作品紹介より)












■その日々は、”奇跡の結晶”




本作は、『魔法少女リリカルなのは』というシリーズの4作目
『魔法少女リリカルなのはViVid』の1年後を描いたスピンオフ作品です。


主人公は、新キャラの フーカ・レヴェントンリンネ・ベルリネッタ という2人の少女。


彼女達の、決別から格闘競技を通して再び絆を取戻すまでが、本作のメインストーリーです。










しかし、私は大筋のストーリーよりも、物語を取り巻くその他のキャラクターが織りなす様々な”奇跡”に心が震えました。


ヴィヴィオが元気な姿で暮らしている奇跡。


アインハルトが心穏やかに過ごし、健やかな強さを手に入れた奇跡。


ノーヴェが少女達を教え導き、多くの友人に囲まれている奇跡。


イクスが皆を助け、共に笑い合っている奇跡。


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本作だけを観るだけでは、この感動を味わうことはできません。


もう10年以上シリーズを追ってきたからこそ感じることのできる、この”奇跡”。


これこそ、ファンにとって何よりも代え難い作品からの贈り物なのです。
















■魔法少女版”はじめの一歩”





本作を観ているとボクシング漫画作品『はじめの一歩』を彷彿とさせる演出・技が多数登場します。





”フリッカー・ジャブ”
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”リバー・ブロー”
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”デンプシー・ロール”
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”スイッチ・スタイル”
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”魔法少女モノ”と思っていた頃が懐かしい・・・・。


本作は、”熱血格闘技モノ”としてご鑑賞ください。








































































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[ 2016/12/25 23:06 ] アニメ | TB(0) | CM(0)

この世界の片隅で  ―――――― 私は ここで 生きている。

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この世界の片隅で

原作 : こうの史代
監督・脚本 : 片渕須直
監督補・画面構成 : 浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督 : 松原秀典
音楽 : コトリンゴ
企画 : 丸山正雄
プロデューサー: 真木太郎(GENCO)
アニメーション制作 : MAPPA
配給 : 東京テアトル
公式サイト : http://konosekai.jp/











【注目キャラクター】



「生きとろうが 死んどろうが

 もう会えん人が居って ものがあって

 うちしか持っとらん それの記憶がある。

 
 うちはその”記憶の器”として

 この世界に在り続けるしかないんですよね。」



この世界の片隅に×すず

浦野 すず
主人公。広島市江波の海苔梳きの家に育った少女。絵を描くことが好き。呉の北條家に嫁ぐ。のんびりおっとりした性格から時折小事件を巻き起こす。次第に物資が乏しくなる生活に先行きの不安を感じつつも、知恵と明るさで乗り切っていく。












【レビュー】







  「周作さん ありがとう。
 
  ――――― この世界の片隅に うちを見つけてくれて。」






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18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。
(作品紹介より)












■各地で絶賛の嵐!歴史的名作!!





今年は『シン・ゴジラ』『君の名は。』という大ヒット映画、しかも特撮とアニメという組み合わせ、が立て続けに公開され、個人的に本当に幸運な年だと思っていました。


しかし、年の瀬の近づいてたこの時期、もう一つの大きな波が押し寄せてきたのです。


本作は先に挙げた2作品に比べ当初の公開スクリーンは1/3以下という状況でしたが、その後の評判を受け、年明けには100スクリーン以上の公開拡大が決まっています。


遅れてきたシンデレラーストーリー的作品。


その素晴らしさは、多くの専門家の方々が語ってくれているので、以下のリンクを参考にしてくただければと思います。













































■”太平洋戦争”と”失われた20年”





初めて本作を観たとき、大きな衝撃を受けました。


人生で何度かしか経験のない”その種類”の衝撃だったと思います。


”いい映画”の定義とは一説によると、「映画館を出たときに、それまでの景色と世界が違って見えること」だと言います。


まさにそんな感じがしました。


もし、映画館に自分以外誰もいなかったら、映画が終わった瞬間、立ち上がって万雷の拍手を送っていたことでしょう。



「この作品をつくってくれてありがとう!」その気持ちしかありません。


なぜ、この2010年代に生きる私が、戦時中の呉を舞台にした映画でここまで心を動かされたのでしょう。


映画を観た後、その疑問が頭の中にありました。










考えた結果、自分なりの答えを見つけました。


それは、もはや現代の人々にとって”神話”となっている”戦争”を、実話だということを再認識させてくれる作品だということです。


片淵監督は、本作を”戦争映画”とは言わず、”暮らしの映画”だと語っています。


日本人にとって先の戦争とは、後悔と自戒の象徴であり、もはや『アリとキリギリス』『舌切り雀』といった教訓めいた寓話のような形で語られることがほとんどです。


そのため、そこに暮らしていた個人にスポットが当てた作品がそれほどなかったような気がします。


浦野すず(北條すず)という女性が本当にいたんだよ、という実感がとてつもなくありました。


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そのつながりで、本作を通して監督が本当に言いたかったことが、さらにその奥にあると思いました。


確かに戦争はつらく悲しいものですが、その時代に生きた人々の人生そのものを否定するものではないということです。


本作を観てわかるように戦争の日々が全て悲劇に包まれていたわけではありません。


その大半は、たわいのない笑いに溢れた楽しい日々だったはずです。


すずさんの夫である周作さんのセリフにもあります。


「すずさんと過ごしたこの1年半は、本当に楽しかった」
と。


最期の惨劇だけで、それまでの日々の幸せが隠れてしまうなんてもったいないことですよね。


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その話は現代にも通じています。


私が物心ついたとき、既にバブルは崩壊し、【平成不況】と呼ばれる”暗黒時代”に突入していました。


長期の不況は社会全体に陰を落とし、企業倒産が相次ぎ、リストラも増加しました。


追い打ちをかけるように、95年には【阪神淡路大震災】【地下鉄サリン事件】が発生しました。


2000年代に入りITバブルにより景気が上向いたと思ったら、その途端に【リーマンショック】


気がつけば、これらの時代は”失われた20年”と呼ばれ、私達の世代は”ゆとり世代”と蔑まれ、大人達は「昔は良かった」と声高に話しています。


でも、そんな中でも、楽しいこと嬉しいことはたくさんありました。


私のこれまでの人生は決して不幸でもないし、他人に否定されるものではないと思っています。










きっと戦時中を生きていた人々も同じだったのでしょう。


きっと笑いもあったし、幸せもあったし、誰も生まれてきた時代を間違えたとか、そんなことは思わなかったはずです。


ただただ日々を懸命に生きて、生きて、生きて。


その積み重ねが”人生”であり、”時代”になっていくのです。


「戦争だから不幸」とか「戦争がないから幸せ」とか、たぶんそんなに関係ないんだと思います。


本作は、どこまでの”普通”のすずさんという女性がこの世界の片隅に確かに生きていたという証であり、彼女のような普通の人々の人生は、こんなにも美しく、人の心を揺さぶるものなんだよ、ということを私達に教えてくれました。
















■追記




2016年12月28日更新回の『熱量と文字数』で本作が取り上げられました。↓↓↓


熱量と文字数 198 【萌える!『この世界の片隅に』特集】


さすが!熱文字!!とも言える独自の切り口で語られていますのでぜひ必聴のこと!






























































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[ 2016/12/18 23:00 ] アニメ | TB(0) | CM(0)

君の名は。  ―――――― ずっと何かを、誰かを、探している

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君の名は。

監督・原作・脚本・絵コンテ・編集・撮影 - 新海誠
キャラクターデザイン・オープニング作画監督・オープニング原画 - 田中将賀
作画監督・キャラクターデザイン - 安藤雅司
作画監督・原画 - 井上鋭、土屋堅一、廣田俊輔
作画監督 - 黄瀬和哉
音楽 - RADWIMPS
演出 - 居村健治
巫女振付創作・振付 - 中村壱太郎
美術監督 - 丹治匠、馬島亮子、渡邉丞
美術設定 - 高橋武之
色彩設計 - 三木陽子
色指定検査 - 仲條貴子
撮影チーフ - 福澤瞳
3DCGチーフ - 竹内良貴
製作 - 市川南、川口典孝、大田圭二
共同製作 - 井上伸一郎、弓矢政法、畠中達郎、善木準二、坂本健
企画・プロデュース - 川村元気
エグゼクティブプロデューサー - 古澤佳寛
プロデューサー - 武井克弘、伊藤耕一郎
制作プロデューサー - 酒井雄一
音楽プロデューサー - 成川沙世子
音響監督 - 山田陽(サウンドチーム・ドンファン)
音響効果 - 森川永子(ちゅらサウンド)
録音 - 八巻大樹
音響制作 - サウンドチーム・ドンファン
方言監修 - かとう有花
音楽ミキサー - 菅井正剛、澤本哲朗、Tom Lord-Alge、長谷川巧
音楽ディレクター 山口一樹
ストリングス協力 - 徳澤青弦
音楽エディター - 金貞陽一郎
音楽協力 - 藤沢囃子保存会、深澤恵梨香
デジタルラボ - IMAGICA
アニメーション制作協力 - アンサー・スタジオ
宣伝プロデューサー - 豊澤康弘、水木雄太、弭間友子
オフィシャルライター - 渡辺水央
配給 - 東宝
制作 - コミックス・ウェーブ・フィルム
製作 - 「君の名は。」製作委員会
公式サイト - http://www.kiminona.com/index.html











【注目キャラクター】



「よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、

 時には戻って、途切れ、またつながり。


 それが組紐。 それが時間。 それが、ムスビ。」




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宮水 一葉
三葉の祖母で宮水神社の神主。82歳。
三葉の母である二葉が亡くなり婿養子の俊樹が家を出たあと、孫の三葉と四葉を育ててきた。












【レビュー】







   「 私は、 」

    「 ―――― だれかひとりを、ひとりだけを、探している。 」

  「 僕は、 」






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千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。

町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださ―い!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」
(作品紹介より)












■『君の名は。』を観なければならない5つの理由





空前のメガヒット作として歴史に残るであろう本作。


この記事を書いている12月5日時点で興行収入199億円を突破し、200億円に到達することは確実だろうと言われています。


本作は、アニメーション監督・新海誠にとっての”転換点”であり、日本アニメの”転換点”として、後生語られることになるでしょう。


私自身も劇場に足を運び、また、本作に対するいろいろな人の感想・論評・考察を伺っていく中で、本作がなぜこれほどの成功を収めることができたのか、その理由を自分なりに考えました。


これから述べる5つのことは、本作の魅力の一端を示したものであり、本作が「観たほうがいい作品」ではなく、「観るべき作品」だと自信を持って言える自分なりの根拠でもあります。















■その1:テレビアニメを意識した冒頭30分





長編作品は冒頭がとても大事です。


ともすれば、2時間を超える上映時間をいかに退屈させずに観客に過ごしてもらえるか。


どうやって早く作品世界に引きずり込むことができるのか。


本作の演出手法は、その問いに明確な答えを提示しました。










作品のファーストシーン。


星が燦然と輝き、彗星が空を走る。


その画面をバックに主人公である瀧と三葉のモノローグが語られます。


絶妙なタイミングで流れ始めるRADWIMPSの『夢灯籠』。


そして、躍動感に溢れ、物語への期待を盛り上げるオープニングアニメーション。


約30分日常描写が描かれ、2人がお互いに入れ替わっていることに気づくシーン。


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「入れ替わってる!!!????」










ここまでの流れ、明らかにテレビアニメの第1話を意識した作り方ですよね。


冒頭のシーン30分を作品の一部というよりは、まったく切り離して別の30分アニメを作ったというほうがしっくりきます。


このような演出手法を取ることで、本作は長編の弱点とも言えるスタートダッシュの遅さをうまくカバーし、それ以上に作品全体の魅力を押し上げることに成功したのです。















■その2:作画×美術×音楽=勝利の方程式





監督の新海監督は、とにかく背景(美術)にこだわる監督として知られています。


その一方キャラ描写が弱いという批判もこれまではありました。


そこで本作では、スタジオジブリ所属のアニメーター・安藤雅司さんを作画監督に迎え入れました。


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安藤さんは弱冠28歳で『もののけ姫』の作画監督に抜擢された”天才”であり、安藤さんが加わることによって、本作におけるキャラ描写も美術と同様に日本トップクラスのクオリティを実現させることができました。










もう一つ重要なファクターとして、ロックバンド【RADWIMPS】が劇中音楽の全ての制作を担当したということが挙げられます。


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もちらん彼らが映画音楽を担当するのは初めての経験です。


その楽曲は、映画音楽でありつつも彼らの音楽性が全面に出てきており、シーンによってはアニメーションよりも音楽がメインではないかという印象を受けるほどです。


映画音楽初挑戦の彼らだからこそ、超ハイクオリティのアニメーションに負けないガチンコな音楽になっており、そのことが作品全体に大きなプラスとして働いています。















■その3:作品に奥深さを与える”民俗学的設定”





”男女が入れ替わる”というファンタジー色が強い設定に埋もれがちですが、その世界観のベースとなっている糸守町の”民俗学的設定”こそ、本作の肝とも言えます。


1000年周期で起こる隕石落下による悲劇。


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このことを後生にいかに伝えていくか。


きっと太古の人々は自分達の子孫に警告を知らせるため、宮水神社を作り、様々な伝統を守ってきました。


例え大火によって文献が全て燃え果てようとも、【組紐】【舞】といった普段の生活に溶け込む形で、確かにそれは1000年もの時を超え、人々の間で受け継がれてきたのです。


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この当たりの設定は、劇中では語られてはおらず、スピンオフノベライズである『君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫) 』の三葉の父親・俊樹の主観で語られる『あなたの結んだもの』で詳しく描写されています。


大学で民俗学を研究していた俊樹は、宮水神社の謎の風習に惹かれ、糸守の地を訪れます。


そこで、後に結婚することになる宮水神社の一人娘・二葉と運命的に出会うのです。










なぜ二葉は物語以前に亡くなってしまったのか。


なぜ俊樹は民俗学者から町長という政治の道に進むことになったのか。


全てはまさに”ムユビ”のなせる業。全ては”つながり” ”ねじれ” そして、人々の願いは”結実”していくのです。


映画を観た後、この話を最期まで読んだとき、あまりの歴史の壮大さに鳥肌が立っていました。


手塚治虫の『火の鳥』並みですよ。















■その4:震災の”外側”にいた人々を描く





本作と同じく今年の大ヒット映画と言えば、庵野秀明監督『シンゴジラ』が挙げられます。


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この2つの作品で共通しているのが、”東日本大震災”をテーマに盛り込んでいることです。


と、ここまでは多くの人が語っていることです。


もう一歩踏み込んでいます。










『シンゴジラ』では、ゴジラに破壊される東京と、それに対する人々との攻防が描かれています。


これはまさに、地震・津波という自然災害に翻弄されながらも立ち向かう”被災地の内側”の人々の姿が投影されています。










一方、本作では、糸守町における災害は過去の出来事であり、自分達には直接関係がないという人々が、その災害をどう感じ、どう向き合っていくかをメインに描かれています。


これは、”被災地の外側”にいた人々の姿が投影されています。


つまり、本作のほうが、実際の自分の体験と共感する人が多く、結果、『シンゴジラ』を大きく上回る大ヒットを記録した要因だと考えます。


このことは、下記の新海誠監督のインタビューからも読み取れますので、ご一読ください。↓↓↓
『君の名は。』新海誠インタビュー後編 震災以降の物語/『シン・ゴジラ』との共時性?


新海 直接的に震災を描いてはいませんが、僕らには、知識や体験として震災がある。2011年以降、僕も含めて、多くの日本人が「明日は自分たちの番かもしれない」あるいは「なぜ(被災したのは)自分たちじゃなかったんだろう」という思考のベースに切り替わっていったように思います。(一部抜粋)




それにしても、震災から5年が経過した今年、このことをテーマにした対照的な2作品が公開され、どちらも空前の大ヒットを記録したことは、偶然というより必然であり、運命的なものを感じざるを得ません。















■その5:”5億点”のラスト”5分”





本作は、全編をとおして”歴史的名作”であることは間違ありません。


その中でも、私は特に”ラスト5分”に対して、100点満点中”5億点”をつけても良いと思えるほど大好きです。










これまで現実世界では出会うことが出来なかった2人が初めて出会うまでのシーン。


同監督の作品『秒速5センチメートル』では、最期、主人公とヒロインの2人が出会うことが出来ないという悲劇的な結末でした。


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同作を観た方は、本作のこのシーンで同じ結末を迎えるのではないかという焦燥感に駆られたことでしょう。


私もそうでした。


「出会えるの?出会えないの??」
という不安から、「出会えた!!!」というカタルシス。


もう最高です。


このシーンだけで本作を観る価値は十分にあると思います。















■番外編:”ユキちゃん先生”





”『君の名は。』を観なければならない5つの理由”の他にどうしても言わせてほしいことが1つあります。



本編中に新海監督の前作『言の葉の庭』のヒロイン・雪野 百香里が登場しているのです。


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三葉の学校の古典教師として授業をしている”ユキちゃん先生”


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演じているのはもちろん花澤香菜さん、しかも原画を担当したのは『言の葉の庭』で作画監督とキャラクターデザインを手掛けた土屋堅一さんというこだわりぶり。


『言の葉の庭』
が大好きな私とっては、代え難いご褒美となります。

































































【関連記事】

・『シン・ゴジラ』公開初日に行ってきました。 [2016/07/31]
・言の葉の庭 [2013/07/01]




















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[ 2016/12/10 13:30 ] アニメ | TB(0) | CM(0)
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Author:F
昭和生まれの東北人。

アニメ、漫画、ライトノベル、アニソンが大好物。

このブログでは、私が出会った2次元作品についてのひとり語りをココ、”秘密基地<セーフハウス>”からこっそり更新しています。

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